石談話 - 天眼石
石談話 - 天眼石との出合い
もうかれこれ20年近くが経とうとしているのですが、今でもよく覚えている石との出合いがあります。 20年近く前というと、私の人生で第2の石ブームが訪れていた頃であり、また世間でもパワーストーンという言葉がちやほやされていた頃だったと思います。
その石は「天眼石(てんがんせき)」と呼ばれる石で、オニキスの縞模様をうまく活かして眼の模様が彫刻されたものでした。
天眼石(てんがんせき)は、天珠(てんじゅ)同様、チベットで古来から存在した装飾品(法具)とされています。 具体的にはオニキスを削り出し、その天然の縞模様を巧みに活かし彫刻することで「目(眼)」を生じさせたもので、天眼珠(てんがんじゅ)とも呼ばれます。
対し天珠は、古来から伝わる伝統的な方法で図案(模様)を瑪瑙に焼き付けたもので天眼石とは異なります。
天珠も天眼石も「眼」をモチーフにした図案ですが、そもそも「眼」またはその象徴は様々な民族、宗教、遺跡などでみられ、ある特別な意味を持ったものでした。
大抵の場合は、強力な眼力(眼の力)によりよくないもの(魔)を遠ざけ寄せ付けないといったもので、 近年でも犯罪抑制効果を狙い、町角のポスター、シールなどで眼をモチーフにしたものがあるのと同様ですが、 眼は口ほどにものをいうといわれるように、想像以上に眼の力というのは力強いものです。
眼力という言葉もありますが、眼には特別なある種神秘的な力が宿るとして古来から信じられてきたようです。
特に天眼石はチベット、中華圏において魔除けの効果があると信じられています。
いつもの如く話が脱線してしまいましたが、私の天眼石との出合い、石談話としてこんなエピソードがありました:
20年近く前の5月のこと、石好きの友人と行った横浜中華街で天眼石のペンダントを見かけました。 その時に天眼石という石の存在を初めて知ったのか、予め知っていたのか今では記憶が定かではありません。 とにかくとても惹かれたのですが、その時はなぜか買わず、それでも「やっぱり買った方がよかったかな」と悩みながら帰宅したことを覚えています。
そしてそのまま時が流れ、天眼石の存在を忘れかけはじめた5ヶ月後の10月、なぜかそのペンダントのことが無性に気になりだしました。
なぜ5ヶ月も経って急に気になりだしたのか、その時は分かりませんでしたが、それはとても強く衝動に近いものでした。
すぐに中華街に行き、その時のお店のあった場所へ向かったのですが、そこは期間限定で場所を提供する店舗だったらしく、 私が行った時は沖縄物産店に変わっていました。 とてもがっかりして帰宅しましたが、それでも諦めきれず、インターネットでほうぼう探した結果、なんと再び天眼石を扱うお店が出店するという情報を入手しました。
その時は当然のことながら5ヶ月前に見かけたあの天眼石そのものというより、似たような天眼石が見つかればいいなという気持ちでしたが、そのお店では気に入った天眼石を見つけることができませんでした。
しかし、別の店に似たようなものがあった気がすると店員さんが教えてくれました。
微かな望みに期待しつつその別の店に伺ったところ、な、なんと5ヶ月前に買うのを見送ったあの天眼石、そのものがそこにあったのです! 5月の時点では天眼石は8つくらいあったのを記憶しており、その大半は既に無くなっていましたが、 私が目をつけた一番素晴らしいと思ったそのひとつ(友人の目からも一番素晴らしいものであったようです)は、まるで5ヶ月の間、私を待っていてくれたかのようにそこにあったのです。
運命を感じました。
もちろん今回は絶対に購入するぞと心に決め、高鳴る心音を聞きながらレジに向かったのを覚えています。
そうしてその天眼石を身に着けて、私の新しい生活がはじまりました。 その後、私の運命がよりよい方向へ変わりはじめたのを記憶しています。
今思えば、5月の時点ではまだ私に天眼石を持つ準備が出来ていなかったのかなとも思います。 そして5ヶ月が経って私の準備ができた時に再び巡り合うことができたのだと。 運命の出合い、それは不思議で私の人生を変えるほど素晴らしい奇跡的な出来事でした。
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