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紫晃石‐I

紫晃石データ

石質: 輝緑凝灰岩
石肌: 荒め
肌触: ざらざら
硬さ: 普通~硬い
色: 緑~青~紫~赤の母岩に白い石灰質が不規則な鱗状に入る
特記: 紫晃石の滝石は水石において全国的に有名(母岩に混じる石灰質を滝に見立てる)

紫晃石‐壱

紫晃石(しこうせき)は、安倍川で見つかる硬質な石で水石における滝石として、ある種ブランドのような扱いをされたようである。

「ようである」と曖昧な表現をするのは水石自体が風前の灯火のような状態であって、今では実際にどの程度持て囃されたのか想像に難いことによる。

質の良いものは加茂の紫貴船石として産地偽装されたそうなので石質は輝緑凝灰岩であろう。 輝緑凝灰岩の色のバリエーションは豊かであるが紫晃石では、赤紫晃石と青紫晃石の二種が顕著。 もちろんいずれの場合も濃い紫色を基調とした色合いである。

光沢のない濃紫色の母岩に貫入する石英質が不規則な鱗状となる点が特徴的。

硬度は高いが石肌が荒く、一見風化したチャートのようにも似る。 そのため水をかけると荒い石肌が目立たなくなり、紫が濃く落ち着いた色合いになるところが、この石の魅力である。

なお、紫晃石は安倍川のブランドであると前述したが、他の川や山から産出する類似の石は紫雲石(しうんせき)と呼ばれることが多い。

紫晃石

こちらは、川擦れが顕著で丸くなった紫晃石。赤紫を基調に僅かに緑色が入り、石灰質も少し残っている。

紫晃石

水で濡らしたところ。色合いが深くなり落ち着いた印象が強くなる。

紫晃石

紫晃石

一週間ほど持ち歩いたりして馴染んできた紫晃石。 もともと荒い石肌で色合いも白っぽくなっていたのが、しっとりと落ち着いた印象になった。

このように馴染んでくるのが石の魅力のひとつであるが、紫晃石はその変化が面白い石のひとつだろう。 例えば神居古潭石のように緻密すぎる石は、もともとが艶やかなため、こういった変化の愉しみが幾分減ずるのかもしれない。

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