神居古潭の曹閃石について
神居古潭の曹閃石について
「神居古潭7石」とは、神居古潭から産する石々がいかにバリエーションに富んでいるかを言い表す、いわば美称ですが、神居古潭7石のひとつに曹閃石があります。
ここでは、神居古潭から産する曹閃石について考えたいと思います。
なお、神居古潭7石の言葉がいつ頃生まれたのかは定かではありませんが、おそらく昭和の水石ブームの頃、神居古潭石が水石の銘石として脚光を浴びていた時代ではないかと思います。
まず、曹閃石(そうせんせき)とはどういった石なのか。
曹閃石とは、リーベック閃石のことです。
そしてリーベック閃石とは、角閃石族に属する鉱物ですが、その中でも比較的有名な?藍閃石に近く、藍閃石の成分のうちMgとAlが2価と3価のFeに置き換わったものがリーベック閃石です。
ただ、藍閃石もリーベック閃石も見た目には区別がしにくく、Mgの多い藍閃石がやや淡色で、Feの多いリーベック閃石が暗色で黒っぽい程度の差です。
それでは神居古潭から産した藍閃石、またはリーベック閃石を含む青色片岩を見てみましょう:
独特の藍色をしています。 なお、藍閃石もリーベック閃石も結晶片岩(青色片岩)に含まれた微細な針状、繊維状で産することがほとんどのようです。
このリーベック閃石が繊維状鉱石となったものが、クロシライド(青石綿)となります。
ちなみにクロシドライトは、石綿の中で最も毒性が強い青石綿として以外に、鉱物としても比較的有名です。
クロシドライトに石英が染み込んで硬化したものが鷹目石(ホークスアイ)であり、クロシドライト特有の灰青色をしています。 これが酸化して黄金色から茶褐色の縞模様になったものが、有名な虎目石(タイガーズアイ)となる訳です。
さて、神居古潭から産する藍閃石、またはリーベック閃石がどのような石か分かったところですが、ここでひとつ疑問が生じます。
このリーベック閃石(曹閃石)が本当に神居古潭7石のひとつとして数えられたものなのか。 「神居古潭7石」という美称が、水石から生まれたものとすれば、このリーベック閃石(曹閃石)が水石に適するのかという点です。
。。。
正直、よく分かりません。
さて、ここで同じく神居古潭から産する別の石を紹介したいと思います。
実はこちらの石、当初私が曹閃石と思っていた石です。
というのも、曹閃石が微細な針状、繊維状で産することから、髪の毛にできる天使の輪のような独特の光の反射(シャトヤンシー効果)があるはずと考えたからです。
この石の場合、白い石英質の個所ではなく、緑の濃い凹部のあたりをよく見ると、髪の毛にできる天使の輪のように、微細な繊維質を含むことによってできる独特の光の反射(シャトヤンシー効果)があるようにも見えます。
ただし、その後の調べでこの石は黒色片岩(こくしょくへんがん)の可能性が高くなっています。
黒色片岩は、石墨を多く含むため脂肪光沢があるといいます。また、石英・長石類に富む白い層と,石墨に富む黒い層が互い違いの縞になっていることが多いとも。
したがって天使の輪と思っていたものは、実は石墨による脂肪光沢ではないかと思うのです。
ここで話を戻し、神居古潭から産する曹閃石についてですが、一説によると「緑色または緑色に白が交差した石である」とされています。
私は、神居古潭から産する曹閃石とは、実はこの黒色片岩が間違って曹閃石と考えられていた気がしてなりません。
黒色片岩とは言え、現物を見ると緑っぽく見えますし、また、白い石英質が交差しています。
さらに、曹閃石は緑色ではなく藍色のはずです。
真実のほどはよく分かりませんが、以上、神居古潭から産する曹閃石について個人的な考察でした。
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