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姫川薬石

姫川薬石

長野県北安曇郡及び新潟県糸魚川市を流れ、日本海に注ぐ姫川。

姫川

この川は、北アメリカプレートとユーラシアプレートの境界となる糸魚川静岡構造線にほぼ沿って流れるが、水質が綺麗なだけでなく、流域や海岸から翡翠が見つかることでも名が知れている。

姫川の流域や海岸からは翡翠だけでなく、褐色で複雑な縞模様を呈する「姫川薬石」または「虎石」と呼ばれる石も見つかる。特に、姫川流域や河口から翡翠海岸~越中宮崎海岸あたりから姫川薬石が見つかる。

姫川薬石

姫川薬石には、薬の文字が当てられるが、薬としての効果、効能は科学的に証明されたものではない。

経験的に花瓶に入れると花や水が傷みにくく長持ちする、日本酒や水に浸けておくと味が良くなるといわれる。

鉱物としての姫川薬石

姫川薬石は、流紋岩質溶結凝灰岩(りゅうもんがんしつようけつぎょうかいがん)か石英斑岩(せきいはんがん)といわれる。

どちらも二酸化ケイ素(SiO2)を多く含む酸性マグマ由来だが、流紋岩質溶結凝灰岩は火山灰などが堆積・溶結してできた火砕岩で、流れ模様(流理)が見られるのに対し、石英斑岩は地下深くでゆっくり冷え固まった花崗岩が地上付近で急冷された半深成岩。 つまり、流紋岩質溶結凝灰岩は火砕岩(火山噴出物が固まったもの)、石英斑岩は火成岩(マグマが固まったもの、斑岩組織)という違いがある。

流紋岩質溶結凝灰岩と石英斑岩は同じではないものの、姫川の流域や海岸から見つかる褐色で複雑な縞模様を呈する石を姫川薬石ということから、姫川薬石には流紋岩質溶結凝灰岩のものと、石英斑岩のものがある。

昔から地元で姫川薬石といわれてきた方だけを扱う姫川薬石の店もあるが、フォッサマグナミュージアムで鑑定をしてもらうと両方が姫川薬石といわれたりする。 放射線量の観点からいうと、必ずしも昔から姫川薬石と呼ばれてきた方が高い訳ではない。

そもそも姫川薬石に明確な定義がない以上、このようなことは往々にして起こるが、いずれにせよ観賞用なのか、何かしらの効能を期待してのことなのかによって選ぶのがよい。

姫川薬石の効能

姫川薬石はラジウム鉱石と記述されることもあるが、ラジウム鉱石とは放射性元素ラジウムを含む鉱石の総称であり、実際に姫川薬石には微量の放射線(アルファ線、ベータ線、ガンマ線)を放出するものがあるため、間違いではない。

経験的な姫川薬石の効能は、ホルミシス効果というごく微量の有害物質やストレスが、かえって生体に良い影響を与え、抵抗力や免疫力、自然治癒力などを高める現象による健康効果だと考えらえるが、過剰なストレスは有害であるのは間違いなく、慎重な見解もあることから鵜呑みにはしない方がよい。

ほかに麦飯石(ばくはんせき)と同じように、多孔質による水中のカルキや雑菌の吸着、微量の元素が溶出することによる作用もあるといわれる。

花瓶に入れると花や水が傷みにくく長持ちする、日本酒や水に浸けておくと味が良くなるというのは、ホルミシス効果よりも吸着効果と微量の成分の流出によるものと考えられる。

人に直接作用するのはホルミシス効果と、何よりも自己暗示や自己治癒力に作用するプラセボ効果が強いのではないかと思われる。 人の思念は、時に石自体の効果を上回ることが往々にしてあるように思えるためである。。

総合的に考えると、姫川薬石には相応の効能があると考えられるが、実際の利用に当たっては当然のことではあるが、あくまで自己責任に留めるのが賢明といえる。

姫川薬石に似た石

姫川薬石によく似た石は国内でも数か所から見つかる。

岐阜県武芸川(むげがわ)の武芸川石や、熊本県天草地方の天草石などがよく知られている。また、海外ではピクチャーストーンとして観賞されることもある。

3石の姫川薬石

姫川薬石

姫川薬石3石。

姫川薬石

左が流紋岩に近いもの。比較的サラサラした触り心地。 真ん中が石英斑岩に近いもの。比較的ザラザラした触り心地で時に手に粉っぽさが残る。 昔から地元で姫川薬石といわれるもの。

姫川薬石

右が姫川薬石の中で希少な赤虎に近いもの。 もう少し赤いと更に希少性が増す。その希少性から鑑賞石としても人気がある。

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